花粉症の薬の副作用 インペアード
インペアードって何?
花粉症の人にとって、春はとてもつらい時期ですが、花粉症の人は何らかの形で 予防したり症状を改善するために薬を服用したりしていると思います。花粉症の 内服薬ですが大別すると、抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤とがあります。 この抗ヒスタミン剤は起きてしまった症状を緩和する働きが主な効能です。 抗アレルギー剤はアレルギー症状そのものを緩和させようという種類の薬なので 出てしまった症状を抑える効能は抗ヒスタミン剤ほど強くありません。
問題となるのはこの抗ヒスタミン剤のほうですが、 この抗ヒスタミン剤の歴史は結構古く1940年代に作られました。アレルギーによる 症状をかなり即効的に緩和できる薬として広く使われてきましたが、服用した時の副作用として 「眠くなる」ということが特徴でした。薬の使用上の注意として「眠くなるので車の運転や 機械の操作などはしないでください」という注意書きは以前から書かれていますが、 最近この「眠くなる」という副作用には別の副作用が隠されていたことが わかってきました。脳の中枢に作用し、気が付かないうちに集中力や判断力の低下を招くという重大な 脳の機能低下を引き起こす副作用です。この副作用のことをインペアードといいます。 インペアードの意味は「正常な機能が損なわれた」という意味です。
花粉症の薬、眠くなるだけではなかった!
能力の低下を招くインペアード
この抗ヒスタミン剤ですが、通常鼻に効いて即効性があります。ただこの薬は鼻だけでなく 脳にも効いてしまうことがわかってきました。ヒスタミンの働きを抑制する効果は脳の中の ヒスタミンにも作用して、通常脳の働きを活発にする「脳内ヒスタミン」の働きをも 抑制してしまうのです。眠気や身体のだるさが自覚されればなんとなく集中力に欠けるということも 自覚されますが、気をつけなくてはならないのは、眠気やだるさが無くとも 脳には影響が出ることがあるということです。自覚症状がなく、知らず知らずのうちに集中力や 判断力が低下して作業能率が落ちたり、仕事のミスをしたりするようになるということです。 このことを「インペアードパフォーマンス」といいますが、本人だけでなく周囲も気づかない ことが多いので注意が必要です。
インペアードの能力低下はウィスキー3杯分!?
このインペアードのことを専門に研究しているある大学で、抗ヒスタミン薬2種類と プラシーボ(薬効成分のない偽薬・・・もちろん治験者には知らされません)を健康な 人に飲ませ車の運転コースでランプの点灯に合わせて車のブレーキを踏ませる反応実験を 行ったところ、インペアードを起こす薬を飲んだ人は明らかにブレーキを踏む反応が 遅くなったといいます。その程度はどのくらいかというと、ウィスキーのシングルを 3杯程度飲んだ人の反応と同じくらいだったことが判明しました。
ただ、まだまだインペアードののことを知っている人は少なく医師や薬剤師の間にも それほどインペアードは認識されていないのが現状です。
インペアードの危険を防ぐ
このようにインペアードは飲酒したと同様の能力低下をきたすので、車の運転や飛行機の 操縦を職業とする人にとっては致命的な事故を招く恐れもあります。また仕事や勉強 スポーツなどの日常生活においても支障をきたすおそれがありますが 春は花粉シーズンのうえ受験生にとっては受験シーズン。勉強や試験の影響が出るので 花粉症の薬の服用には充分な注意が必要です。 このため、このインペアード・パフォーマンスを防ぐために 「インペアード・パフォーマンス ゼロプロジェクト」というプロジェクトも今年の 1月に立ち上がりました。
前期のプロジェクの立ち上げメンバーの一人で 花粉症の治療と労働生産性への影響について研究した人の調査によると、・・・スギ花粉症に 悩む人の数はここ10年の間に1.6倍に増え、3.7人に一人が花粉症だということです。 またその労働生産性の低下による損失額は約2,400億円にもなる・・・と説明しています。 驚くべき数字ですね。ただ、この抗ヒスタミン剤にもインペアードになるものとならないもの があるので、医師によく相談のうえ、インペアードになりにくい薬を処方してもらうのが 肝要です。